常滑焼工房 甚秋陶苑の急須
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甚秋陶苑の伊藤成二さんは、日本のみならず、中国宜興の世界壺芸大賞や台湾国際金壺陶芸展での受賞するなど、国際的な評価も高い、現代の名工です。
伊藤さんはとても柔軟で、ものづくりに対し情熱的な人です。それは、急須にも表れています。
しなやかで、美しく、力強い。中国の宜興急須に引けを取らない、素晴らしい急須を生み出します。
胴体、蓋、口、把手、全体の均整がとれています。寸分のゆがみもなく、蓋や茶漉しのつくりも素晴らしいです。蓋の間から湯は漏れず、使い勝手も優れています。
急須の土は、知多半島で採れる粘土です。常滑焼の代表的な土である、朱泥です。土の粒子が細かく、複雑な造形である急須に向いています。そのため常滑焼は、急須に特化した陶器です。
朱泥の色合いは、作家さん、職人さんごとに異なります。伊藤さんの朱泥は、艶をおさえた、明るい赤茶色です。
ろくろ成形の作業は、見るのが楽しいです。実際はかなり難しく、集中力が必要な作業です。
同じ形状をまとめて成形します。ほとんどの作業を1人でされています。
伊藤さん曰く、ご自身の認識は陶芸作家ではなく、職人だそうです。伊藤さんの急須は形状、デザイン、どれもオリジナリティにあふれています。
職人というのは、オリジナリティの有無ではなく、モノづくりに対する、厳しい姿勢のことだと思います。形状、使い勝手ともに、誠実に追求する作り手です。