備前焼作家・森一朗さんの急須
共有
森一朗さんは、備前焼の作家さんです。森さんのお店に初めて伺った時、昔は呉服屋だったという店内には、Jazzが流れていました。
森さんの作品には、備前の土の風合いが感じられました。森さんに中国茶向け急須の特徴や使い方を話し、水平壺タイプの急須を作ってほしいとお願いしました。
協力をお願いしようと思ったきっかけは、店内に流れていたJazzです。木と畳の日本家屋に、センスが良いJazz。それだけで大丈夫じゃないかと思いました。話してみると、森さんは柔軟で、とてもやさしい人でした。
眉間にしわを寄せた怖い人とは、上手く協力関係が築けそうにありません。そういう人が急須を作ると、お茶まで渋くなりそうです。人柄は大事だと思います。
備前焼では土づくりが、とても大事だそうです。土づくりが上手く行けば、作品の大半はできたと言えるほど、土が大事なんだそうです。
備前焼には、とても多くの種類の土があります。複数の土を使い分けたり、配合して使うそうです。作家さんごとに、土は異なります。作家さんの個性が、土の風合いとして作品に表れます。
急須に使われる土です。
これに水分を加え、漉したり、練ったりすると、粘土状になります。次の画像が、窯に入れる前の急須です。
備前焼の伝統技法である、緋襷に使う藁(わら)です。これを急須に巻き付け、焼成後、その巻き付けた箇所が赤茶色になります。
森さんの急須は、登り窯で焼成されます。窯焚きには、大量の薪が必要です。焼物は天然の資源を使い、作られるものだから、大事に、長く使わなければと思います。
登り窯です。窯焚きは通常、年2回だそうです。準備にも労力、時間がかなり掛かります。数日間続く窯焚きを、交替で見続けます。
窯の中の温度は、最高1200℃まで上がります。薪を入れるタイミングが違えば、思ったように温度が上がりません。経験値が必要な作業です。
森さんの工房は、山に囲まれた、自然が豊かな場所にあります。
森さんの工房で作ってもらう急須は、緋襷、桟切、窯変など、技法によって様々な種類があります。どれも個性豊かで、1つとして同じ表情にはなりません。備前の風土が感じられる、素晴らしい急須です。